
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
「撒き餌レンズ」の概念、ぶっ壊れました
Zeiss Otus 級の描写が、Zeiss Otus の数分の一の値段で。
Zユーザーなら絶対に一度は使うべき、現代標準レンズの最高到達点
「撒き餌レンズ」の概念、ぶっ壊れました
これ、f/1.8 の値段でいいんですか?
- 結論から言います
- なぜこのレンズはここまで凄いのか
- 実際の写りってどうなの?
- 正直に言う:弱点もあります
- Zマウントの50mm、どれを選ぶべきか
- 他社と比べてどうか
- こんな人に超おすすめ
どうも。
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S、使ったことありますか?
「f/1.8の標準レンズでしょ、まあそれなりでしょ」って思ってたら大間違いです。
かのZeiss Otus 55mm f/1.4、知ってますか。定価約40万円。写真家なら誰もが「いつか使ってみたい」と思う伝説のレンズです。
その Zeiss Otus に匹敵する、あるいは凌駕すると言われている光学性能が、このレンズには入っています。価格はその数分の一。
(ソース)
ただ、なぜそんな性能が出せるのか。なにが従来の f/1.8 と違うのか。そこをちゃんと話したいと思います。
答えはシンプルで、Zマウントが全部を変えたからです。
一眼レフ時代(Fマウント)のレンズ設計には制約がありました。マウント径が小さい(44mm)し、ミラーボックスがある分、レンズとセンサーが遠い(フランジバック 46.5mm)。
ZマウントはFマウントより穴径がひと回り大きく(55mm)、センサーまでの距離がわずか16mm。この物理的な余裕が、レンズ設計者に「なんでもできる」自由を与えました。

後玉がレンズ端まででていて、この大きさなのは本当に圧巻です。
Fマウントでこんな設計のものは見たことありません。
余談ですが、ソニーのEマウントはもともとAPS-C設計でZマウントのようなセンサーとレンズ後玉の近さではありません

その結果、このレンズは9群12枚という、従来の f/1.8 レンズ(だいたい6〜7枚)の常識をぶっちぎる構成になりました。EDレンズ2枚、非球面レンズ2枚、ナノクリスタルコート。
正直、f/1.8 のスペックに対してやり過ぎなくらいの設計です。でもニコンは「Zマウントの最初の標準レンズで基準を引き上げる」という意地を見せてきた。それがこのレンズです。
開放 f/1.8 から、中央はほぼ完璧にシャープ。
これが一番びっくりするところです。「開放は甘い、絞って使うもの」という常識がこのレンズには通用しない。f/1.8 から実用上のピーク性能に近い数値が出ます。
f/2.8 まで絞ると、今度は四隅まで均一にシャープになります。風景写真で隅々まで解像させたいときも f/4 あれば十分。








コントラストは高く、「3Dポップ」と呼ばれる立体感のある描写が出ます。被写体がぐっと浮き上がって見える感じ。高コントラストで解像感が高いから、露出アンダーで撮ると異常にエモくなります(これに気づくと使い方が変わる)。
ボケは9枚の円形絞り羽根のおかげで美しい円形。グラデーションも滑らかで、二線ボケみたいな不自然さはほぼ出ません。


あとはシャープすぎるという問題があります。本当に肌のきめ細かさまで写るので、ポートレートでは人によってはリタッチが必要になります。これはレンズの欠点というより「使い手が慣れる必要がある」話。
とはいえ、普通のレンズと考えたら特に気になる重さではないです。
最短撮影距離 0.4m は標準レンズとしては優秀ですが、もう少し寄りたいという場面はたまにあります。マクロが必要なら MC 50mm f/2.8 を選びましょう。
| レンズ | 絞り | 重量 | 価格帯 | S-Line |
|---|---|---|---|---|
| Z 50mm f/1.2 S | f/1.2 | 1090g | × 高い | ◎ |
| Z 50mm f/1.8 S(本機) | f/1.8 | 415g ✓ | ◎ コスパ最強 | ◎ |
| Z 50mm f/1.4 | f/1.4 | 470g | ○ 安い | なし |
| Z MC 50mm f/2.8 | f/2.8 | 260g | ○ | なし(等倍接写専用) |
| Z 40mm f/2 | f/2.0 | 170g | ◎ 安い | なし |
f/1.2 S は「究極」を求める人向け。でも1090gを毎日持ち歩けますか?という話です。f/1.8 S はバランスが一番いい。S-Line の画質と、日常使いできる重さの両立。
f/1.4 は非S-Lineですが、わざと収差を残した「情緒的な描写」を目指した面白いレンズです。ポートレートや街スナップで雰囲気重視ならあり。風景や商品撮影で隅々まで解像させたいなら f/1.8 S の圧勝。
| レンズ | 重量 | 色収差 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Nikon Z 50mm f/1.8 S | 415g | ほぼなし | 繊細・自然・均質 |
| Sony FE 55mm f/1.8 ZA | 281g | 開放で目立つ | 小型だが設計が古め |
| Sigma 50mm f/1.4 DG DN Art | 670g | 少ない | パキッとした力強さ |
| Canon RF 50mm f/1.8 STM | 160g | そこそこある | 安さ重視の入門向け |
ソニーの 55mm f/1.8 ZA は軽くていいレンズですが、開放で紫フリンジが目立ちやすく、設計的に古さを感じます。ニコンは収差の少なさと最短撮影距離(0.4m)の短さで、一世代先の性能です。
シグマ Art は「力強くパキッとした」描写が好きな人向け。ニコン Z 50mm は「繊細で自然な」描写。どっちが好みかは人によります。ただ純正ならではの瞳 AF の安定性と、ボディ内補正との完璧な連携はニコンの強みです。
| 項目 | Z 50mm f/1.8 S | AF-S 50mm f/1.8G(旧) |
|---|---|---|
| レンズ構成 | 9群12枚(ED×2、非球面×2) | 6群7枚(非球面×1) |
| 最短撮影距離 | 0.4m | 0.45m |
| 絞り羽根 | 9枚(円形) | 7枚 |
| フィルター径 | 62mm | 58mm |
| 重量 | 約415g | 約185g |
| AFモーター | STM(ステッピング) | SWM(超音波) |
| コーティング | ナノクリスタルコート | SIC |
| 防塵・防滴 | あり(配慮設計) | 限定的 |
「これ1本あれば仕事の8割こなせる」。
世界中のプロがそう言っています。
f/1.8 から絞り値を気にせず使える解放感は、一度味わったら手放せません。
Zユーザーなら、このレンズを使っていないのはZマウントの真価の半分を知らないのと同じです。
騙されたと思って、一度手に取ってみてください。
後悔はしないので。