まず結論から
私はこのレンズをかなり気に入っている。
それは多くのフルサイズレンズに絶望してきたからだ。
フルサイズ用のレンズってのは馬鹿高いしでかいし、光学性能が最悪。
やれ、色収差だ、フレアだ、開放からは使えないだ、AF激遅だと現代人にとってはツライレンズが多い。
こいつはそういう不満をすべて解決している!
さて話を始めようか
外観
中古で買ったので傷がありますorz
標準的な男性の手であれば難なく持てます。
デカいデカいって言われてますが、キットレンズしか使ったことがない人でない限りコンパクトだと感じるはず。
鞄の中に余裕でしまえます。
しっかり外装は金属です。AFとMFを切り替えるスイッチもついています。
結構レンズがマウント部のぎりぎりまできてる。
わかりますかね?
太さとかは意外とマイクロフォーサーズの上等な単焦点と変わらない印象。
個人的な感想としては
デザイン:問題はないが面白味はない
大きさ:コンパクト(Fマウントの50mmと比べるとでかいが)
重さ:むっちゃ軽いが、質感通りって感じでよい
傷のつきやすさ:落とさない限り大丈夫そう
頑丈さ:さすがニコンって感じで丈夫
不満:特になし
さすがにZ専用設計なだけあってデザインはばっちりあってる。
こうはならない(笑)
外観は減点すべきところはなく満足
作例
まぁ素直ですわ。これF1.8開放です。50mmなので自転車が馬鹿ボケすることはありません。適切なボケと嫌みのない画質で心地よいです。
独特の味のあるレンズではないため、レンズの描写に頼る写真やレタッチをされる方にはお勧めしません。
いつでも仕事をこなす真面目なできるやつって感じです。
自分で作ったプリセットで現像したのがこれ
無難な現像ができます。いじってもシャドーもハイライトも壊れず、当然ノイズも少ないです。悪い言い方をすると、どぎつい現像にも向いています。
しかし、独特の色味やらはないのでこのレンズの持つ赤を生かそうとか、そういう風にはなりません。
しかし、無難なことは悪いばかりではありません。
元から完成形が頭にある人にとって、思ったような写真が作れないことは大変つらいことです。
なので本当に一長一短ですね。
以下JPEG撮って出しで写真を紹介します。レタッチをすると、レンズそのものの持つ味やら特徴を殺してしまうので。
秋にそこらへんの落ち葉を撮りました。これぞフルサイズと言わんばかりのボケとシャドーの美しさ。
一眼レフの50mmを使っていた人からすると、シャープ過ぎて目が痛いと感じるかもしれないですね。
ボケですが、見事です。確かに画面左上がレモン型のボケに見えますが、全然許容範囲です。
ボケが上品でおとなしいため、人によっては少しボケが小さくないか?と感じるかもしれません。そういう方はF0.95なりを買いましょう。
ですが、必要十分なボケを出してくれていると思います。
このレンズの味は透明感ですね。現代のレンズの特徴のひとつです。
Fマウントを長らく使っていた人からすると、モヤがはれたように感じると思います。
まさしく、Fマウントに引導を渡した次世代のスタンダードレンズと言えましょう。
本当にクリアでシャープです。ボケも適切で立体感を引き立てています。こういうごちゃごちゃしたシチュエーションはマイクロフォーサーズやAPS-Cで撮るとイマイチなのですが、しっかりと描写してます。すごい。
ボケとダイナミックレンジを見てみましょう。今回は今までの作例よりもボケが大きくわかりやすいと思います。
こういう状況を撮ると空が真っ白になることが多いのですが、さすがはフルサイズという感じで、空の色味が残っています。
個人的に夕暮れに撮ると繊細な色を出すレンズな気がしています。持ち前のクリアさと夕日の温かさがなんとも言えない雰囲気を作り出すというかなんというか。
ボケについてですが、遠くまできれいです。そしてピント面は非常にシャープです。田んぼの緑が飽和しておらず、つぶれていません。
また、色収差も見当たりません。
次に最短撮影距離付近で撮った写真
最短撮影は40cmということで、他社のレンズと比べるとやや寄れないと思うかもしれません。しかし、実際はそこまで気になりません。
確かに他社のレンズは、最短撮影距離が35cmのものが多いです。なので、細かいことも結構気になってしまうタイプの人にはつらいかもしれません。
ですが、実際使っていると、
最短撮影距離ってレンズから撮影したいものまでの距離
じゃないですか?これを実最短撮影距離と名付けましょう。すると、このレンズはややレフ機のものより長いので、実最短撮影距離は他の50mmとあんま変わらない気がします。
イラストにするとこんな感じ。
なのでストレスはそんな感じない気がします。
最短撮影距離ってイメージセンサーからの距離なのでレンズの長さは関係ありません。
実際ストレスになることはないかと思います。
次にAF精度です。
中央一点で追尾とかしてませんが、ピントはしっかり来てます。AFが遅いとはまったく思いません。ただ、爆速の70-200と比べると少し遅いかなくらいです。
でも日常使いならまったく問題なし。あと、やっぱ夕暮れ時がこのレンズにあってる。
最後に現像した写真
なんか最近こういう色味の写真をよく見る気がします。こういう写真を作るために、ライトルームの契約とプリセットの購入をした人がいるのですが、この程度の稚拙なものであれば
RawTherapee使ってタダで作れるので、初心者の方はこちらも参考にしてみて下さい。要望があれば自分で作った20種類のプリセットを無料で配布しようと思います。
悪いとはいいませんが、自分で色をいじってみるのは楽しいですよ。
お次は画質編
画質
作例の一番最初の写真です。F1.8開放です。
拡大していろいろ見てみましょう。
こんくらい倍率で拡大していきます。
まずは中央のこの部分から。
色収差、ありません。これ雨の日だったんですが、水滴までみえます、若干ぼやけているようにみえるのはわずかにボケているからだと思います。
Z6で撮っているのですが、明らかにセンサー性能を超える解像度です。Z7とかの高画素機で撮ったらもっときれいに映ると思います。
次に中央やや左上の木の質感やらを見てみましょう。
木の質感をある程度とらえています。いいんじゃないでしょうか
今度は左下
50mmのF1.8なのでよくみたらボケてます。ボケ方も文句なしです。色収差からくるにじみや不愉快なボケ方はしていません。
というかかなりきれいです。あとシャドーもしっかり描写されています。マイクロフォーサーズだとこのシャドーはノイズとかダイナミックレンジの狭さで溶けてましたね。
お次は画面右下を拡大。
個人的にすごいと思ったのがこの写真の左の草の質感とタイヤの質感、そして雨露を纏う草をしっかり写し取れていること。
フルサイズのくせに中央のみならず、写真の四隅まで本当に抜かりない。
これを見たら他社の50mmなんて使えないんじゃないかな。10万未満のものは。
まずレフ機の50mmは正直絞って使うものだし、軽くて比較的安いけど、絵が汚い。
撒き餌なんて言われるだけあって、上位のレンズを買わせるためのレンズ。
なので使っていると文句がでる。だが、こいつはそこそこ安いくせにここまで映るし、コンパクト。
ミラーレスの他社の50mmは安いが絵が汚い、質感がチープ、AFが遅いなど意外と持病持ちだ。
一方こいつの欠点と言えば、他の50mmよりやや大きくやや値段が高いこと。でもそれだけ。
お次はボケ量の比較
ボケ量
F1.8
F2
F2.2
F2.5
F2.8
F3.2
F3.5
F4
F4.5
F5
F5.6
F8
F14
もうちょっとわかりやすく比較すると
F0.2の差はほぼない気がしますね。どっちも十分ボケてます。なのでF2のレンズもF1.8のレンズもボケはそんな差がないってことじゃないですかね。
こうやって見比べるとF1.8と2.8の差ってありますね。中央の草が浮き立っていたF1.8と比べて2.8は立体感に少し欠けます。それに金属の黄色いやつのボケが少ない気がします。
それに画面右上の草のボケ量が減って、全体的にピントが合い始め、特別感というか集中感が減っています。
おおよそ結論としては、F1.8とF2に大した差はないが、F2.8ともあるとやっぱボケは減る。ただ、2.8でもある程度十分にボケてくれる。
価格
NIKKOR Z 50mm F1.8は新品なら安い時で6万6千円、高い時で7万6千円っていう感じ。
一応アマゾンとかで最安値見れるリンク張っておきます。
最安値で買うならこれを読んでください
このレンズの中古はだいたい5~6万で推移している感じですね。こっちも最安値がわかるリンクを張っておくので見てみてください。
このレンズと競合になりえるのはFTZをつけてFマウントを使うパターン。
AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G
>Z 50mmの半分ほどのサイズと値段。なんといっても3万でおつりがくるフルサイズ対応レンズ。
しかし、お勧めしません(↑アマゾン経由でレビューとか見てみてください)
まず設計が古い。11年前のレンズである上に、あくまで入門者向けレンズで描写に不満を持つ人が多い。一回使ったことがあるが、Zの50を知れば使う気が起こらないレンズ。
こいつを買うまでのつなぎにするならいいとは思うが、それなら我慢してお金を貯めるほうが賢いと思う。
Zの50mmはその大きさを差し引いてでも買うべきだと思う。
せっかくレンズ買ったのに写真がイマイチだとか、納得できないだとかいう目にあって欲しくないので。やっぱZを買っておけばよかったと後から後悔しても遅いのです。
確かに50mmのくせに高いですが、ここは我慢して買っちゃいましょう。
早く買ったほうがいっぱい使えて減価償却早いですし。あと迷ったら高いほうを買うのが幸せです!
お次に
AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
F1.4というのが魅力的だが、描写は甘い。というかつい最近まで開放なんて使えないのが当たり前だった。こいつは14年前のレンズで収差もあったし、Z6につけて試し撮りして即試し撮りをやめた。
このレンズは凄いソフトで人物撮影とかレンズの描写でエモエモ系写真を撮る人には向いているが、自分には適していないと感じた。
それにF1.4がソフトで使えない時点でF1.8から使えるZに優位性があるのはあきらか。
なのでやはりZを買いなさいと言いたい。
ほかにはSIGMAがいるが、たしか800gとかあったはず。重すぎる。重くて持ち歩けないなんてなったら大変でしょうに。満タンの500mlペットボトルより重いなんてやばいでしょ。ゆるく撮るならおすすめしません。
総合的にZの50は優秀なのであーだこーだ言わずに買ってしまうことが幸せだと思います。自分もさんざん悩みましたが、結局は純正なんですよ。
この(醜い)アダプターを使わなくて済みますし
まとめ
Zマウント始めたならこいつは絶対買うべき。後悔しないと思います。
シャープでボケて、色収差なくて、クリアで、10万を切る価格で買えて、小さくて軽い、AFも高速。文句は思いつきません。買いです!